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ここまで、離婚成立までの流れと、離婚問題Q&Aにおいて、実際に想定されるケースでの手続について、説明させて頂きました。
しかし、最近は、離婚問題は以前より深刻化していると言えます。その原因の一つとして挙げられるのが、いわゆる「DV(ドメスティック・バイオレンス)」です。
そこで、このページではDV被害についての手続の説明をさせて頂きます。
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、親密な関係にある男性(或いは女性)から女性(或いは男性)に対して振るわれる暴力のことです。
夫(或いは妻)だけではなく、婚約者、離婚した夫(或いは妻)、交際中の彼氏(或いは彼女)、別れた彼氏(或いは彼女)から暴力を振るわれる場合も含まれます。
多くの場合、男性から女性に対して暴力が振るわれているので、以下の説明は最も典型的な「加害者を夫、被害者を妻とする場合」をもとに行います。
DV法の正式な名称は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」といい、配偶者からの暴力の被害を受けている被害者を保護する保護命令手続を規定する法律として、平成13年10月13日に施行されました。
平成16年と平成19年にそれぞれ一部改正が行われ、保護命令の対象の離婚後の元配偶者への拡大、保護命令の対象の加害行為の生命・身体に対する脅迫への拡大、接近禁止命令の範囲の被害者の子並びに親族への拡大、退去命令の内容及び期間の拡大、退去命令の再度の申立の制度の創設、接近禁止命令としての電話・ファックス・メール等の行為の禁止等が、新たに認められるに至りました。
現在、上記の法改正により、保護命令は次の5種類になりました。
2ヶ月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること、及びその住居の付近をはいかいしてはならないことを命ずる保護命令です。もとは2週間でしたが、平成16年の改正で2ヶ月間に拡大されました。
但し、退去命令が発令されるのは、加害者と被害者が生活の本拠を共にする場合に限られます。
6ヶ月間、被害者の身辺につきまとい、又はその通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずる保護命令です。
被害者への接近禁止命令の期間中、次に挙げたいずれの行為も禁止することを命ずる保護命令で、平成19年の改正で新しく認められました。
この接近禁止命令は、被害者への接近禁止命令と併せて発令されます。
被害者への接近禁止命令の期間中、被害者と同居している子の身辺につきまとい、又はその通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずる保護命令で、平成16年の改正で新しく認められました。
この接近禁止命令も、被害者への接近禁止命令と併せて発令されますが、同居している子が15歳以上の場合は、子の同意がある場合に限られます。
被害者への接近禁止命令の期間中、被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者の身辺につきまとい、又はその通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずる保護命令で、平成19年の改正で新しく認められました。
この接近禁止命令も、被害者への接近禁止命令と併せて発令されますが、発令されるのは、被害者の親族等が被害者の15歳未満の子である場合を除いて、被害者の親族等の者の同意がある場合に限られます。
加害者がこれらの保護命令に違反した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の刑事罰が科せられることとなります。
現在、上記の法改正により、保護命令は次の5種類になりました。
DVがエスカレートすると、最悪の場合、被害者は生命の危険にさらされることになります。
ですから、まずは加害者から身を隠すことが先決です。
そして、各都道府県にある配偶者暴力相談支援センターに被害の相談をして下さい(大阪府の場合は大阪府女性相談センター等が担当しています)。
また、(これは身を隠す前後を問わずですが)、最寄りの警察署の生活安全課に被害相談に行くことも有益です。
被害者の実家は、避難場所としては必ずしも適切とは言えません。
加害者である夫が被害者である妻の実家を知っていることが通常だからです。シェルターは、あくまでも一時的な避難場所に過ぎないものであり、いつまでも避難場所に避難しているだけでは、根本的な解決は望めません。
そこで、裁判所に保護命令の申し立てを行うこととなります。
当事務所では、配偶者暴力相談支援センターへの相談時の付き添いや、保護命令の申し立てを行い、被害者の身体の安全の確保に向けてのサポートをさせて頂きます。
では、保護命令の申立の具体的な手続の流れについて、説明させて頂きます。
申立書では、被害者が「申立人」、加害者が「相手方」となります。
申立書には、「申立人」と「相手方」の氏名と住所を記載しなければなりませんが、申立人が本来の住所から別の場所に一時避難している場合には、それまで生活の本拠としていた本来の住所を記載すればよく、現在避難している場所を記載する必要はありません。
申立書に記載する事項は、次の通りとなります。
前記「3.保護命令について」の(1)〜(5)の保護命令のうち、発令を希望する保護命令の内容を記載します。
これらは、被害者の親族等への接近禁止命令を申し立てる場合に記載する必要があります。
当事務所では、これらの事項を盛り込んで、申立書を作成するという形で、サポートをさせて
頂きます。
申立書には、申立人・相手方の戸籍謄本や住民票の写しの他、暴力を振るわれた際の医師の診断書や、暴力を振るわれて赤黒いあざになったり骨折したりした体の部位の写真、壊された家財道具等の写真、申立人やその友人・親族の陳述書といった添付書類を添付することになります。これらは、相手方が暴力を振るった事実の証拠となります。
申し立てる裁判所は、申立人・相手方の住所地を管轄する地方裁判所となります。
当事務所では、この様な写真や診断書等を証拠書類としてまとめたり、事情を聴き取りして陳述書を作成したりするという形で添付書類を作成し、申立書と共に裁判所に提出するという形で、サポートをさせて頂きます。
申し立てると、ほぼ即日に審尋期日が決まります。
これは、裁判官が、申立人と会って、直接質問して、事件の全容を把握するために行われるものです。
この審尋は、公開の法廷ではない尋問室で行われますので、誰か知らない人に傍聴されることはありません。また、裁判所から相手方に審尋期日が知らされることはありませんので、相手方は裁判所には現れません。
ですから、安心して、裁判官に事件のありのままを話して下さい。
当事務所では、審尋期日当日に裁判所への付き添いをさせて頂くという形でサポートをさせて頂きます。
審尋が終わると、保護命令を申し立てて、裁判官に事件のあらましを聞いてもらえたということで、精神的にホッとできるかも知れません。
確かに、審尋までの経緯を振り返れば、そういう気持ちになるのはもっともなことだと思います。
しかし、残念ながら、そういうわけにはいきません。
実は、申立人の生命・身体に危害が加えられる危険が最も大きくなるのは、この時点から保護命令が発令されるまでの時期なのです。
と言いますのは、申立人への審尋の終了後に、相手方の反論を聞くために、裁判所から相手方に申立書副本が送達されることになっており、申立人の主張が相手方の知るところとなるため、相手方が逆上して申立人やその親族知人に何らかの危害を加える危険が以前にも増して大きくなると言えるのに加えて、この時点では、あくまで保護命令申立事件が裁判所に係属しているというだけであり、まだ保護命令は発令されていませんから、警察が積極的に動くことができないという意味においても、申立人の生命・身体に危害が加えられる危険が大きくなると言えるからなのです。
ですから、この時点では、決して精神的にホッとすることはできません。と言うより、この時点で精神的にホッとして気を緩めることは危険であるとさえ言えます。
そこで、当事務所としては、この時期には、申立人に、容易に相手方が感知できない様な場所のホテルに宿泊することをお勧めします。
経済的な事情もあるかとは思いますが、自分の生命と宿泊代を天秤にかけて跳ね上がるのはどちらなのか、を考えてみて下さい。どちらが跳ね上がるかは一目瞭然でしょう。
裁判官が申立人の話を聞いて、暴力の振るわれた事実を認めた場合、相手方の反論を聞くために尋問を行います。
日時は裁判所から当事務所に連絡がありますが、この日に申立人が裁判所に行く必要はありませんので、裁判所で相手方と会うということはありません。
もし、相手方が、何らかの理由があって当日裁判所に来なかった場合には、裁判所は再度期日を決めて相手方を呼び出します。
相手方が裁判所に出てきて反論を述べた場合、裁判所は、両者の主張を総合して、暴力を振るった事実があると認めた場合には、保護命令を言い渡します。
また、相手方が理由なく裁判所に来なかった場合には、申立人の主張と相手方の態度(裁判所の呼び出しに応じなかったという態度)を総合的に判断して保護命令を言い渡します。
当事務所は、裁判所からの連絡を受けて、保護命令正本を受領します。
後日、裁判所から、保護命令の正式な発令日時の連絡があります。
宿泊先から本来の住所に戻れるのは、この時からということになりますので(退去命令を申し立てた場合)、申立人が本当に精神的にホッとできるのは、この時からということになるのです。
通常、保護命令を申し立てるまでに至れば、申立人と相手方の間の夫婦関係は、完全に破綻していると言えるでしょう。
ですので、一つの流れとして、保護命令の発令後に、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。保護命令申立時に既に別居している場合には、婚姻費用分担調停も併せて申し立てることになります。
そして、調停期日には、調停の申し立てに至る経緯を調停委員に話す際に、保護命令を申し立てて、正式に保護命令が発令されたことについても、話して頂きます。
当事務所では、御希望に応じて、保護命令申し立てに引き続いて、離婚調停や婚姻費用分担調停の申し立てや、調停期日当日の家庭裁判所への付き添いという形で、サポートをさせて頂きます。
離婚調停を申し立てたものの、調停が長期化したり、調停が不成立となって離婚訴訟を提起することとなったりして、その間に保護命令の期間(退去命令の2ヶ月間、接近禁止命令の6ヶ月間)が切れてしまう可能性があります。
しかし、その場合、申立人やその親族等の生活状況いかんでは、保護命令をもう一度発令してもらう必要があります。
そこで、その場合には、再度の保護命令の申し立てを行います。さきに述べました通り、法改正により、現在では再度の保護命令の申し立てが認められています(但し、退去命令については、再度2ヶ月間の退去を強いられる相手方の居住権との関係で、認められる要件が厳格になっています)。
当事務所では、その様な場合にも、御希望に応じて、再度の保護命令の申し立てについて、サポートをさせて頂きます。